7月園長便り より

本園には「リ・コネクト」「にこにこハウス」「みんなのおうち」等の療育施設と併用して登園している園児が約10名余り在園しています。これまでも、明らかな発達障害と診断がつくお子様だけでなく、発達に偏りがあるかも・・・とか、ちょっと気になる・・・とか、利用している子どもの様子は様々です。利用につながるきっかけは、保護者の方が自ら気づいてくださったり、乳幼児健診で勧められたり、子どもの様子を園の先生と伝え合う中でだったり、ママ友からの紹介だったり等、様々です。でも、どの場合も、保護者が目の前のその子としっかり向き合って理解し認めて育ちを信じて、今のその子にとってより良い関わりや支援・環境を用意しようと考えている一つの形だと思います。

園としても、その子一人一人に寄り添いながら保護者方々の葛藤と愛情に敬意をもって出来る限りのサポートをしたいと考えています。子どもにとっても療育施設で専門的な視点での個別の関わり方・環境等での経験を積んでいく事で良い育ちが見られます。さらに担当者から園もその子の様子や関わり方等の情報交換をしながら園での関わり方にも活かしていけるので、園での生活もよりよくなります。

近年、発達障害あるいは要特別支援の子どもたちが多くなっているとよく耳にします。未就学児の療育施設だけでなく、特別支援教室や放課後デイサービス・特別支援学校等のニーズ増加もニュースで取り上げられます。文部科学省の調査によれば、学校での特別支援教室利用者の割合は2009年は2.3%だったのが2019年には5%程になっているようです。発達障害になる人が増えているのでしょうか?発達障害への理解が進んで、認知される人の数が増えたのでは、という意見もあります。大人になってから実は発達障害でしたと認知される例も聞きます。

いわゆる発達障害は先天的な脳機能の障害で特性というか発達の偏りでもあるので、それ自体は完治するものではなく、その特性を本人も周りの人たちもどう理解して社会の中でどう対応し支援できるかが大切です。そういう意味では、認知される数が増えてきているという事は、その特性が理解され必要な支援を受けて社会の中で個性を活かしていける場面が増えてきているよい傾向なのかもしれません。一人ひとりの特性に応じた理解や支援により、その「違い」は「障害」ではなく「個性」へと変化していき、特性以外の部分もしっかり成長できます。

逆に理解されないまま過ごしていくと、本人の努力や親のしつけではどうにもならない特性に理解や支援がない中でその子が苦しみながら過ごし「いつも怒られる、私はダメな子なんだ・・・」等と強いストレスを積み重ね、情緒の不安定さや意欲の減退・不登校や引きこもり等の二次障害につながる場合もあります。

別の研修で鹿児島大学のある教授が「個人が環境(社会)に適応することを重視した時代から「人の多様性に適応できる環境(社会)を追求時代」へ進んでいる。学校の特別支援教育も、個々の障害に応じた分離型の特殊教育から、通常学級で個々のニーズを満たす特別支援教育インクルーシブ教育に変化してきている。と話されました。知識や答えを一律に習得していく学習から、ディスカッションやグループワークを通して主体的対話的な学習が重視されて来ているのも、多様性を認めながら社会を良くする流れに繋がるのかもしれません。

本園で取り入れているモンテッソーリ教育は1900年代初頭のローマで劣悪な環境にあった障害児の治療を元に、どんな子にも共通してみられる発達のプロセスを教育法に見出したものです。

なので、私たちの教育保育の根幹にはもともと、障害があろうがなかろうが、集団生活の中で個々の育ち・個性・特性に合わせた関わりをして、どの子もそこで必要な支援を受けて自分の活動、集団での活動や生活に対等に参加して育つ自由を保障するという考え方があります。その子が必要な環境に自由に主体的に関われるように、その子の育ちの段階や個性・特性に合った手助けをしてあげることで、その子は自分で成長し自ら個性を発揮してくれるのです。周りの子どもたちもお互いに個性を認めて受け入れて自分との違いに折り合いをつけていく事で、平和で多様な社会を作っていくのです。縦割りクラス編成もそれを強めてくれます。

時代の変化にも翻弄されることなく、特別支援というだけでなく、どの子にもその子の個性に必要な教育・配慮・支援をこれからもつづけていきたいと改めて感じています。