7月 園便りから

以前の職場で、とても素直で明るく笑顔が印象的な元気のいい先生がいました。ひまわり組の黄色が似合う、子どもたちにも大人気の先生でした。その先生が研修会で発表する原稿を作成していて、私はその文章を確認したり発表の手伝いをしていました。あらかた原稿も完成して発表のリハーサルをしていた時、彼女がふいに「私、LD(学習障害)なんですよね~。文章がならんでいるとズレて見えるんですよ~」といつもの笑顔でさらっといいました。「原稿読める?」と聞くと「文に定規を添えればなんとか。練習すれば大丈夫ですよ」と。あまりに普通に話すので、そのままいろいろ聞くことも出来ずにいましたが、彼女は研修での発表を立派に行いました。確かに漢字の読み間違いは時々ありましたが、園での仕事ぶりも他の先生と遜色ないというか、むしろ彼女の持ち前の明るさや素直さを活かして本当に良い先生でした。

ASD(自閉症スペクトラム)やADHD(注意欠陥多動性障害)・LD等に代表される発達障害といわれるものは、脳の発達に偏りがある先天的なもので、感覚やコミュニケーション・行動面・学習面等で特徴的な感じ方や得意不得意や特性が現れます。育て方が悪いとか治療すれば完治するとかいうものではありませんが、その特性を理解してもらえない場合に、本人が苦しみます。逆を言えば、その特性を理解してそれに応じた関わりをしてあげると、その苦しみを軽減できて、本人も周囲の人も幸せに過ごせます。周りの人が「みんながこうだからこうでなきゃ」とか「この年齢ならこれができなきゃ」とかを押し付けてしまうと、パニックになったり「僕はダメな子なんだ」と自信を失ったりして情緒が不安定になったり別の症状も出てきたりします。早く「どう感じているのか」「なにが得意で何が苦手なのか」「できる事と出来ない事」を理解してあげられると、「どこを工夫したらこれが出来るのか」も一緒に考えていけるはずです。出来るだけ早いうちに、理解してあげる事が、周りにとっても本人にとっても幸せであり、その子なりに適応し社会で生きていく力を身につけていけますし、特別な力を発揮できる場合もあります。

大人が理解して、受け入れ、その子に必要な手助けをし、自立への道を自ら歩んでいく・・・・他の子と変わりありません。手助けするポイントやその頻度が違うだけです。自分の考えだけを押し付けず、その人を理解して受け入れて、共に生きるための工夫をする・・・・、多様性が重要視される共生社会において発達の偏りも特性の一つととらえられれば、LGBTへの対応もしかり、外国人を受け入れるために外国語や外国文化を学んだりするのと同じように、必要な当然の対応として考えられないでしょうか?

園では、子どもたちへの関わり方の質向上の研修もかねて、県の療育支援事業を利用しています。定期的に子ども発達支援センターから講師を派遣してもらい、園児の様子や先生との関わりを見てもらい、適切な関わりや支援ができるようにアドバイスをいただいています。志布志市や大崎町等の保健師さんや、ニコニコハウスさんやリ・コネクトさん等とも連携をとって、子ども一人一人との適切な関わり方ができるように模索しています。みんなと同じことが出来ない手のかかる子への対応の為ではありません。一人一人の特性に早く気づいてあげて、それぞれの子に必要な支援の仕方や関わり方を学び、その子が幸せな自立への道を自分で歩めるように手助けする為です。

先ずは、子どもの様子をよく観てみましょう。よく関わってあげましょう。そして「どうしてこうなんだろう」「関わり方がむずかしいな」と思ったら、いつでも園の先生や検診時の保健師さんにご相談ください。どうすればその子が幸せに成長できるか、一緒に考えましょう。障害のあるなしに関らず、誰にも特徴や性格の違いもあるし、偏りの大小も様々です。大切なことは、大人の「こうあって欲しい」に子どもを縛り付けることなく、その子の力を信じて、周りの大人が協力してその子に今必要な手助けをしてあげることです。