6月 園長便り

先日の幼年消防クラブの入団式、Aグループさんの凛々しい姿・キビキビした動作・元気な声の訓練発表にとても感動しました。保護者の皆さんも見に来ていただきありがとうございました。

5月中旬から2~3週間の間、本園には教育実習生が学びに来ていました。クラスに入って園生活の中で子どもへの援助やクラス運営等、幼稚園教諭の仕事を学びます。その一人の学生が実習日誌の中で、次のように書いてくれていました。・・・・「今まで学んできた援助の多くは集団での一日の流れを崩さないことを一番に考えていましたが、カトリック志布志幼稚園ではそれと同じくらいその時の幼児の意志を尊重していました。」この大切な部分に気付いて学んでくれたことをとてもうれしく思いました。

通常の幼児教育保育施設ならば「子どもに寄り添った保育」や「子どもの人権を守る」等、子どもを尊重するという大きな方針はあるはずです。先生たち個人としても、子どもが大好きで一人ひとりを大切にしたいという思いを必ず持っています。でも、園は集団生活でもあるし、1~2名程の先生がおよそ10~20数名余りの子どもを見ながらその日の生活と活動をこなすには、効率よく子どもたちを動かしていく技術も必要です。集団活動での教育効果というのも発達段階によってはあるからです。なので、先生たちも悩んだり葛藤したりすることが少なからずあると思います。クラスが一日スムーズに過ごす事・集団活動がまとまっている事や出来栄えを過度に意識するとなおさらです。

でも本当に大切な事は、個人でも集団であってもその活動やスケジュール等も含めて子ども一人ひとりにとって発達段階に合っていて魅力的で「やりたい!」ものであるかどうか。その子がそう感じられるように準備してあるかどうか。そう感じられるようにその子に紹介できているかどうかです。子どもの意欲を促す環境を整えるポイントです。

そしてそれ以上に大切な事は、子どもを「待つ」ことが出来るかどうか。その子が自分の意志でやり始めて、満足いくまでやって、自分でやり終えるのを待てるかどうかです。周りの大人の時間と心の余裕が必要です。

カトリック幼稚園の生活の中でも、一日のスケジュールはもちろんありますし、集団で行動することもあります。ふたば・つぼみ組はお集まりや集団での活動も大きな行事を除いてはほとんどありませんが、ゆり・ばら・すみれ組はそれなりにあります。でもどちらも先ずは個人での自己選択活動「お仕事」を大切にし、そこでの満足感の上で発達段階にあった集団生活を送ります。活動も含めて基本の生活の中で満足感・自己肯定感が培われれば、頑張ったり挑戦したりする意欲も幅も増えてきます。出来る事も増えてきます。発達段階が進めば、帰属意識や集団に合わせる意識も出てくるしそれを好んでしたがる面も出てきます。Aグループさんのように立派な訓練発表も自然と楽しんで出来ます。

環境を整える為には知識や経験・技術も必要ですが、時間と心の余裕は本人の意識と周りの協力があれば出来ます。ぜひご家庭でも気を付けてみてはいかがですか?その子を認めて「待つ」こと、とても大切で素敵な時間です。待つ間にその子を穏やかな心で見つめていると、きっとその子の小さいけれど素晴らしい育ちの瞬間を見て喜ぶことが出来ます。この喜びこそが、親や保育者の悩みを吹き飛ばし子育てを楽しめる力になると思います。