2025年 5月
新学期が始まってすぐ、あるBグループの女の子が、園庭に出た私を見つけて「園長先生ちょっと見て!」と手を引いてきました。どこに連れていくのかと思えば、鉄棒でした。鉄棒は、ときどきみんながやりたがる時があるので、つばめ・豚の丸焼き・おふとん・前回りや逆上がり等、私もやり方を教えていました。私にはその子はあまり鉄棒等が上手にできるイメージはありませんでした。昨年の冬頃は年上の子が前回りをしたり逆上がりに挑戦しているのをうらやましそうにじっと見ながら、前回りも怖がって出来ないでいたからです。でもその子が、得意げな顔で鉄棒を握ると、くるん!と逆上がりを見せてくれたのです!「すごいね!出来るようになったんだね!」と喜ぶ私にその子は照れた笑顔を見せて、何度も逆上がりを見せてくれました。
きっとこの子は、やりたくても出来なかった鉄棒を、少しずつでも何度も挑戦してみたのでしょう。やってみたいと自分で思った時に。そして手や腕の力、足の振り上げ方、お腹の力もようやくそろった時に、教わったコツを自分で思い出して、自分で挑戦して出来るようになったのですね。いつでも自分で出来るように鉄棒が置いてあること。やり方を見せてもらうこと。自分のやりたい時にやりたいだけ繰り返し出来ること。まさに、モンテッソーリ教育のお仕事の大切な要素が作用したいい例だと思います。子どもは自分で自分を育てるのですね。
園には子どもたちが自分で自分を育てるために、いろいろな物を用意して設定してあります。お部屋にあるいろいろな教具、数に関する物も文字や言葉に関する物もそうですし、日常生活に関わる物も、園庭の環境も、園生活での流れも、行事等も・・・。子どもたちがいろいろな物や機会に触れながら、その時々の育ちに必要なものに幸せに出会えたらと願っています。「自分でしたい!」時に思う存分出来るその「幸せな出会い」が、子どもの自主性と意欲と情緒の安定その子の本当の善さを育んでいくのだと思います。